あるシューズメーカーの統計で、40~60代女性の8割以上の方が外反母趾に悩んでいるという結果が出たそうです。

ここでは、外反母趾の原因やその改善方法についてお伝えします。

 

①外反母趾とは

外反母趾の特徴的な症状は、写真①のように足の母指(親指)の先が人差し指(第2趾)のほうに「くの字」に曲がっている状態。

日本整形外科学会では、この角度が20度を超えると外反母趾と定義しています。(図①参照)

写真①

図①

②外反母趾は体にどんな影響があるのか

まず痛みについてですが、外反母趾は必ずしも変形の度合いと痛みが比例しません。

角度は小さいのに痛い方もおられますし、母趾の飛び出しを指で押すと痛む方、靴に当たって痛む方、靴を脱いでも痛む方がおられます。

靴を脱いでも常時痛むようになると手術を検討するようになるようですが、痛みをかばって歩き方が崩れることで姿勢の崩れや他の症状も引き起こすので、早めに改善することをおすすめします。

では、痛みがなければ問題ないのかというと、そうとはいえません。

外反母趾の方の足は、筋力低下や靭帯が緩み骨格的に不安定な状態なので、足元がふらついたり疲れやむくみ、ひざや股関節が痛くなったりします。

さらに、足元の不安定さは姿勢にも影響を与え、身体が歪んでしまったり猫背など姿勢が悪くなったりします。

変形が進むと、指についている筋肉も変形を助長するように働き戻りにくくなります。

それらの症状は、外反母趾が直接の原因とは気づきにくいことが多いのですが、外反母趾を改善することでそれらの症状も改善することがよくあります。

また、足の母指(親指)の先に人差し指(第2趾)が乗ってしまうと、褥瘡(創)ができたり下の指が骨折することもあります。

外反母趾は重症化すると親指の関節が半分脱臼した「亜脱臼」という状態になり、親指が回転してしまいます。放っておくとさらに変形が進行してしまうので、痛みがなくても治療が必要になります。

③外反母趾の原因

日本では未だに、ハイヒールを履くことが外反母趾の原因といわれ、先の細い靴や、もしくは足指の筋力低下などといわれることが多いですが、それらが本当の原因ではありません。

足の医療の先進国であるアメリカの足病医の間では、「外反母趾は歩行時の過剰回内(オーバープロネーション)がベースとなって発生している」というのが広く知られた見識です。

それに足指を捻るように蹴る動き(アブダクトリーツイスト)が加わることで、外反母趾が発生します。

要するに外反母趾は、無理な足の使い方(歩き方)のせいで起こっている、ということです。

④過剰回内(オーバープロネーション)とは

過剰回内とは、シンプルに言えば踵の骨が外に流れ、足首の内側が内方向に倒れている状態(図左)です。

この状態の時、鏡を見ると膝がつま先より内側に入っている(図右)のがわかると思います。

回内(プロネーション)という動き自体は着地の瞬間必要な動きですが、過剰回内はそれが回内しっぱなしになっている状態なのです。

この状態は外反母趾のみならず、いろいろな疾患につながる原因ともいえるものです。

先天的にこのような資質の方もおられますが、足の症状はそれだけで発生していることは希有です。

さらに後天的な無理な足の使い方(歩き方)も加わって、状態を悪化させている場合がほとんどです。

⑤外反母趾の改善方法

なぜあなたの外反母趾がテーピングやサポーター、マッサージや足指の運動等で改善しなかったのか、これまでの説明でご理解いただけたと思います。

つまり、それらは「変形した足指の形を戻す」という見た目にしか着目せず、真の原因である過剰回内にアプローチしていないからです。

テーピングやサポーターで一時的に見た目だけ良くなっても、またすぐに元に戻っていきます。

では外反母趾の根本的な改善はというと、やはり足の使い方(歩き方)の改善です。

足の骨格構造上、回内し過ぎている(過剰回内)足の動きを、本来あるべき動きに直すことが必要です。

よく言われている「足の親指をしっかり使う」「歩幅を大きく」「地面を強く蹴って歩く」「膝をピンと伸ばして歩く」などは、実は外反母趾を悪化させる間違った歩き方です。

私たちは根拠の曖昧な考えではなく、生体構造力学(バイオメカニクス)をもとに考え出された「ゆるかかと歩き(ネイティブウォーキング)」をお教えしています。

このゆるかかと歩きを軸として、全身の骨格調整などを組み合わせた「ネイティブウォーキングプログラム」を提供しており、私が所属するネイティブウォーキング協会では10,000件以上の改善実績を上げています。